糖尿病について
糖尿病ってどんな病気?
糖尿病は慢性的に血糖値の高い状態が続くことにより、のどが渇いたり疲れやすかったりするだけでなく、体のいたる所に色々な合併症を引き起こす病気です。世界中で古くから記録にある病気ですが、日本でも今から1000年ほども前の平安時代、藤原道長がこの病気だったと言われています。道長さんは毎日色々と美味しいものを食べていました。権力闘争でストレスも大きかったと思われます。晩年はとてものどが渇いてひっきりなしにおしっこに行った、どんどんやせて、目も見えなくなった、ついには背中に大きなおできができて亡くなってしまったそうです。
今や糖尿病の患者数は1000万人、予備軍のひとを含めると5、6人に1人は糖尿病と言われています。道長さんのように失明したり、透析になったり、足が腐ったりしてとても怖い病気というイメージがあります。
血糖ってなに
血糖値は血液中のブドウ糖の値を言います。糖尿病ではこれが普通より高くなるのですが、ご飯をたべると上がり、お腹がすくと低くなります。通常朝起きた時が一番低くて、だいたい100くらいです。朝ごはん、昼ごはん、夕ごはんと食べるたびに150くらいまで上昇してまた2時間くらいするともとに戻ります。さらに途中で間食すると、そこでもう一つ山が増えます。1日の血糖値はこのように刻々変化しますから、基準を決めるのは簡単ではありません。普通夕食後になにも食べなないと翌日の朝食前の血糖値が一番低いので、これを空腹時血糖と呼んで基準とします。110より下が正常値です。
食事で高くなった血糖値が再び100くらいまで低下するにはちゃんとした理由があります。食事をすると膵臓からインスリンというホルモンが出てきて、血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉などの組織に配ります。血糖値が下がってくるとインスリンもでなくなるので下がりすぎることはありません。
糖尿病では、このインスリンが少なくなるか、量は足りていてもうまく働かなくなるために、血糖値が上ります。前者の例としては、例えば手術で膵臓を切除した場合です。1型糖尿病もインスリンを作ることができません。一方、後者の例としては肥満による2型糖尿病が挙げられます。肥満になるとインスリンの働きを邪魔する物質が色々できてきて、血糖は下りにくくなってきます。最初は食後の血糖値が上がり始め、その後空腹時血糖も上昇します。血液中の糖分がある程度高くなると(150くらいより上)、尿に糖がもれてきます(尿糖)。
糖尿病の診断には血糖値が大切ですが、血糖値は1日のうちでも刻々変化します。さらに食事の時間や内容、また運動も大きく影響します。空腹時血糖は最も安定する指標ですが、毎回朝食を抜いて朝一番に受診していただくことはなかなかできません。そこで、1、2ヶ月単位の長期間の血糖値の指標としてHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が使用されます。この場合には、検査のために朝の受診や食事を抜いて来る必要はありません。正常値は6.2以下です。